これも名木
2010年05月17日
世田谷の「名木百選」のひとつ「大蔵の五尺藤」の和田さん宅には、もうひとつ名木があります。カルミア、蕾が金平糖のように可愛く、花も変わった形です。この花について、興味深いお話を伺いました。和田家のお祖父様は、静嘉堂のある三菱財閥の創始者岩崎家の、盆栽や植木を扱う仕事をしていらした方で、昔々三菱の船が運んできたカルミアの苗木を1本いただいて植えたそうです。小石川植物園から譲ってくれないかと要請があったりもしたとか。あれこれ調べたら、ワシントンのポトマック河畔に日本から寄贈された桜のお返しに、1915年にはハナミズキが、1918年にはカルミアがアメリカから送られたのです(山田孝雄著「桜史」)。和田家のカルミアがそのときのものなのかは分かりませんが、日本最古に近いカルミアとは言えそうです。ご近所の方たちは、このすてきな花に魅せられ、ぜひとも欲しいと願った結果、農協が苗木を輸入したので、近隣にもカルミアをお持ちの家がいくつかあると聞きました。その通り、砧公園と清掃工場の間の道からよく見えるところに「カルミア屋敷」と呼びたいようなお宅を発見。数えてみると10本以上の大きなカルミアの木が花を咲かせています。砧公園にもカルミアがありますが、較べてみるとまるで赤ちゃんです(5月18日、砧公園のカルミアを追加しました)
Posted by つぼみ at 18:15│Comments(5)
│砧公園周辺
この記事へのコメント
つぼみさん、本当に博学ですね。和田さん宅への取材はどの様にしたのでしょうかね、興味心身です。
Posted by naoki at 2010年05月17日 21:30
「心身」は「津々」の変換ミスです。読み替えてください。naoki
Posted by naoki at 2010年05月17日 21:31
伊豆のゴルフ場で、綺麗なカルミアを毎年観賞しています。
みなさんが聞くもので、数年前から「カルミア」と名札が付きました。
そうだったのですか!
1912年に東京市が贈った桜のお返しだったのですか!
今度、ちょっと自慢しちゃおうかしら!?
Posted by majikku at 2010年05月17日 23:27
毎度のことながら、珍しいものを教えていただいて有難うございます。
見れば見るほど面白い形の蕾ですね。口に放り込みたくなります。
昨日まで白馬山麓にいたのですが、残雪が多くて、野の花はこれからでした。
安曇野ではハナミズキが増えてきた感じがします。
Posted by gwl at 2010年05月18日 11:21
私は博学でもなんでもなく、ブログを始めてから珍しいもの(主に植物)を見かけて名前が分からないと写真を撮ってフラワーランドに行き名前を教えてもらい、図書館やインターネットで調べて文章を書いています。今までに取り上げたネタでは、すでに知っていたものよりは初めて知ったものの方が多いかもしれません。
藤を見に行ったとき、カルミアの名札を見て和田さんの奥様にあれこれ聞き、静嘉堂にもあるのではないかと言われて静嘉堂にも行きました。ちょうど植木屋さんが入っていたので訊いてみたら「カルミアはないねえ。枯れちゃったんじゃないの」との返事でした。その後調べているうちにポトマック河畔の桜のお返しにカルミアが贈られたとの事実を知り、時代から言ってこれがそのカルミアではと思い、ワクワクしました。
その後和田家に3回お邪魔して話を伺いました。藤を見る人のためにしつらえてあったテーブルと椅子はもう片付けられています。花を散らしたあとの柄はそのままにしておくと豆のさやのようになって木が弱るので、全部切り取るのだそうです。植物をいい状態に維持するには大変な努力がいると分かりました。
Posted by つぼみ at 2010年05月18日 21:20